【初心者向け】定年後の趣味・旅行…「ゆとり費」の考え方と準備
定年後の生活について考えるとき、「毎月の生活費は年金で足りるのだろうか?」という基本的な心配に加えて、「もう少し人生を楽しみたい」「趣味や旅行にお金を使いたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような、基本的な生活費にプラスして、人生をより豊かにするために使いたいお金を、この記事では「ゆとり費」と呼びます。
定年後の生活は、現役時代とはお金の流れが変わります。収入が公的年金や退職金、これまでに築いた資産からの取り崩しなどが中心となり、支出も変化します。この変化に合わせて、どのように「ゆとり費」を準備し、賢く使っていくかを考えることは、充実したセカンドライフを送る上でとても大切です。
この記事では、定年後の「ゆとり費」について、その考え方や、今からできる準備の方法を初心者の方にも分かりやすく解説します。
「ゆとり費」とは?基本的な生活費との違い
定年後の生活費は、大きく二つの部分に分けられます。一つは、衣食住や光熱費、通信費、医療費、税金など、生きていく上で最低限必要となる費用です。これを「基本的な生活費」とします。
もう一つが、この記事で取り上げる「ゆとり費」です。これは、基本的な生活費に加えて、個人の趣味や娯楽、旅行、友人との付き合い、孫への支出、少し良い食事など、生活に彩りや楽しみを加えるために使うお金です。
どれくらいの金額をゆとり費に充てたいかは、人それぞれです。ゆとり費があることで、単に生活するだけでなく、「自分のやりたいこと」を実現し、精神的な豊かさを得ることができます。
ゆとり費はいくらくらい必要?
必要なゆとり費の金額は、ご自身のライフスタイルや価値観によって大きく異なります。ある調査では、夫婦二人でゆとりある老後生活を送るためには、毎月36万円程度が必要という結果が出ていますが、これはあくまで平均的な目安です。この金額には、基本的な生活費とゆとり費の両方が含まれています。
ご自身にとって必要なゆとり費を考える際は、以下の点を考慮してみましょう。
- どのような趣味にお金を使いたいか?(例:旅行、習い事、ゴルフ、外食、観劇など)
- 旅行にはどれくらいの頻度で行きたいか、予算は?
- 友人や家族との付き合いにはどれくらい使いたいか?
- 孫へのお小遣いやプレゼントは考えているか?
- 自宅のリフォームや車の買い替えなど、大きな支出は予定しているか?
これらの希望を具体的にリストアップし、それぞれにかかるであろう費用を想像してみることが第一歩です。例えば、「年に2回国内旅行に行きたい」「毎月趣味に1万円かけたい」「月に数回は友人とのランチを楽しみたい」といったように、具体的な金額を積み上げてみると、ご自身の必要なゆとり費が見えてくるでしょう。
定年後のゆとり費を準備する方法
「ゆとり費」のために、今からできる準備はいくつかあります。
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貯蓄: 最も基本的な準備方法です。毎月の収入から一定額を貯蓄に回すことを継続します。目的が明確になることで、モチベーションを保ちやすくなります。退職金の一部を将来のゆとり費として確保しておくことも考えられます。
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資産運用: 貯蓄だけでは、お金が増えるスピードは限られています。インフレ(物価上昇)によってお金の価値が目減りするリスクもあります。そこで検討したいのが資産運用です。
- つみたてNISAやiDeCoの活用: これらは国が用意した、少額からでも始めやすい税制優遇のある制度です。長期・積立・分散投資の考え方に基づき、リスクを抑えながら資産を増やすことを目指せます。特に50代からでも、iDeCoは原則65歳まで加入でき、運用益非課税などのメリットがあります。新しいNISAも非課税投資枠が大きく拡充され、より柔軟に活用できるようになっています。
- 投資信託: 多くの投資家から集めた資金をまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資する商品です。一つの商品で分散投資ができるため、初心者の方にも始めやすい方法の一つです。
資産運用にはリスクが伴いますが、ご自身の許容できるリスクの範囲で、無理のない金額から始めてみることが大切です。分からないことは、金融機関の相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談してみるのも良いでしょう。
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働き方: 定年後も働くことで、継続的な収入を得るという方法もあります。例えば、週に数日だけ働く、好きな分野でスキルを活かす、といった多様な働き方があります。収入があれば、それだけゆとり費に回せる金額が増えたり、資産を取り崩すスピードを緩やかにしたりすることができます。
これらの方法を一つだけでなく、複数組み合わせて準備を進めることも有効です。
準備を始めるためのステップ
定年後のゆとり費のために、今から具体的に動き出すためのステップをご紹介します。
ステップ1:目標とするゆとり費を考える まずは、先ほど考えたように、ご自身の希望するライフスタイルを実現するために、毎月または年間でどれくらいの「ゆとり費」が必要かを具体的に見積もってみましょう。
ステップ2:現状を確認する 現在の貯蓄額や、将来受け取れる年金額の見込み(「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます)、退職金の見込み額などを把握します。これにより、基本的な生活費を賄った上で、ゆとり費に充てられる原資がどれくらいあるかが見えてきます。
ステップ3:不足額を把握し、準備計画を立てる 目標とするゆとり費に対して、現状の資産や今後の収入でどの程度賄えるかを確認します。不足が見込まれる場合は、その不足額を埋めるために、これから毎月いくら貯蓄や投資に回す必要があるか、あるいは定年後も働く必要があるか、といった具体的な計画を立てます。
ステップ4:行動に移す 計画に基づいて、貯蓄額を増やす、つみたてNISAやiDeCoを始める、資産運用の勉強をする、定年後の働き方について情報収集を始めるなど、具体的な行動に移しましょう。
まとめ
定年後の「ゆとり費」は、基本的な生活を送るためのお金とは別に、ご自身の人生をより豊かに、楽しくするために使う大切なお金です。必要な金額は人それぞれですが、ご自身の希望を具体的に考えることから準備は始まります。
ゆとり費の準備方法としては、貯蓄、資産運用(つみたてNISAやiDeCoなど)、定年後の働き方など、様々な選択肢があります。これらの方法を理解し、ご自身の状況に合わせて組み合わせることで、目標とするゆとりあるセカンドライフに近づけるはずです。
まだ漠然としているという方も、まずはこの記事を参考に、「自分は定年後、どんなことで楽しみたいたいか」「それにはいくらくらいかかりそうか」と考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。計画を立て、少しずつでも行動を始めることが、将来の安心につながります。