【初心者向け】定年後の生活とお金 保険の基本から見直し方を分かりやすく解説
定年後の生活に漠然とした不安を感じている方にとって、「お金」は特に気になるテーマではないでしょうか。公的年金や退職金、ご自身で積み立てたNISAやiDeCoなど、さまざまな資金をどのように管理し、使っていくかを考えることはとても大切です。
しかし、お金の準備と同じくらい大切なのが、「もしも」の時に備えることです。病気やケガ、介護が必要になった時など、予測できない事態が発生した場合、家計に大きな影響を与える可能性があります。こうしたリスクに備える一つの方法が「保険」です。
今、加入している保険は、若い頃や働き盛りの頃に加入したものかもしれません。定年後の生活を考えた時に、その保険が今の自分にとって本当に必要なのか、保障は十分なのか、あるいは払いすぎているのではないか、と感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、定年後の生活を見据えた保険の考え方について、初心者の方にも分かりやすく解説します。今からでもできる保険の見直しの基本を知り、将来への安心につなげていきましょう。
なぜ定年前に保険の見直しが必要なのか?
私たちは、人生の各ステージで必要なお金やリスクが変化します。若い頃は子育てや住宅購入など、大きな出費に備えつつ、病気や死亡時の収入保障を手厚く考えることが一般的です。しかし、定年が近づくにつれて、以下のような変化が起こります。
- 収入の減少: 定年退職により、現役時代に比べて収入が減少する方が多いでしょう。
- 家族構成の変化: お子さんが独立し、夫婦二人、あるいは一人暮らしになるなど、守るべき家族構成が変わることがあります。
- 公的保障の変化: 会社員であれば加入していた健康保険が後期高齢者医療制度(75歳以上)に移行するなど、医療費の自己負担割合などが変わる場合があります。
- 必要となる保障内容の変化: 死亡保障よりも、医療や介護に対する保障の重要度が増す可能性があります。
こうした変化に合わせて、加入している保険が現在の、そしてこれからのライフスタイルに合っているかを確認し、必要に応じて見直すことが大切になります。
定年後に必要になる可能性のある保障とは?
定年後の生活で、特に備えておきたい「もしも」には、以下のようなものが考えられます。
- 医療費: 病気やケガで入院・手術をした場合の自己負担額です。日本の公的医療保険制度は充実していますが、差額ベッド代や先進医療費、通院にかかる費用などは自己負担となる場合があります。また、年齢とともに医療費の自己負担割合が変わることも考慮が必要です。
- 介護費用: 介護が必要になった場合の費用です。公的な介護保険制度がありますが、サービスの利用料には自己負担があり、また、施設入居の場合は利用料が高額になることもあります。
- 葬儀費用: ご自身や配偶者に万が一のことがあった場合の費用です。
- 家族に残すお金: ご自身に万が一のことがあった際に、配偶者や残された家族の生活費や整理資金として必要なお金です。ただし、お子さんが独立している場合や、配偶者の方も十分な公的年金や資産がある場合は、現役時代ほど高額な死亡保障は必要ないかもしれません。
これらの費用に備えるために、医療保険、介護保険、死亡保険(特に終身保険や、整理資金のための少額短期保険など)が選択肢として考えられます。
今加入している保険を確認してみましょう
保険を見直す第一歩は、現在加入している保険を把握することです。
- 保険証券を探す: まず、加入している保険の「保険証券」を探してみましょう。保険証券には、保険の種類、保険期間、保険金額(給付金として受け取れる金額)、保険料、払込期間などの重要な情報が記載されています。
- 保険の種類を知る: 加入している保険が、死亡保険なのか、医療保険なのか、あるいは両方が含まれるものなのか、を確認します。定期保険(一定期間だけ保障される)なのか、終身保険(一生涯保障される)なのかも重要な点です。
- 保障内容をチェック: どのような場合に、いくらの保険金・給付金が受け取れるのか、具体的に確認しましょう。入院給付金や手術給付金の金額、支払われる日数制限などを見ていきます。特約(主契約に上乗せする特別な保障)についても内容を確認します。
保険証券の見方が分からない場合は、保険会社のお客様センターに問い合わせたり、保険会社のウェブサイトで確認したりすることもできます。
保険見直しの基本的なステップ
現在の保険が把握できたら、定年後を見据えた見直しを行います。
- 定年後の生活で必要となる保障額を考える: 前述の医療費や介護費用など、「もしも」の事態に備えて、公的制度でカバーできない部分をいくらくらい準備しておきたいかを考えます。預貯金や他の資産で十分に備えができている場合は、保険で準備する金額を抑えられるかもしれません。
- 現在の保険の保障内容と保険料をチェックする: 今入っている保険で、定年後に必要となる保障がどの程度カバーできるかを確認します。保障が不足しているのか、あるいは反対に過剰なのかを見極めます。また、保険料が定年後の収入で無理なく支払える金額かどうかも重要なポイントです。
- 必要に応じて保険の保障内容や保険料を見直す:
- 保障が過剰な場合: 不要になった保障(例: 高額な死亡保障)を解約したり、減額したりすることを検討します。ただし、解約返戻金(解約時に戻ってくるお金)が払い込んだ保険料の総額より少なくなる場合や、一度解約すると再び加入するのが難しくなる場合があるため、慎重な判断が必要です。定期保険であれば、更新せずそのまま満期を迎えるという選択肢もあります。
- 保障が不足している場合: 新たに保険に加入したり、既存の保険に特約をつけたりすることを検討します。ただし、年齢が上がると保険料は高くなる傾向があり、健康状態によっては加入が難しくなることもあります。
- 保険料を抑えたい場合: 保障内容をシンプルにする、保険期間を見直す、払済保険(これ以上保険料を払い込まずに、その時点での解約返戻金をもとに保障額を減らして継続する)にする、といった方法が考えられます。
見直し時の注意点
保険を見直す際には、いくつかの注意点があります。
- 健康状態: 新しい保険に加入したり、保障を増やしたりする場合、健康状態の告知が必要です。病歴や治療歴があると、加入できなかったり、保険料が割増になったり、特定の病気が保障対象外になったりすることがあります。
- 保険期間: 定年後も保障が必要な場合は、保険期間が一生涯続く「終身型」の保険を検討することが一般的です。定期保険は保険期間が満了すると保障がなくなります。
- 複数の保険会社を比較する: 同じような保障内容でも、保険会社によって保険料やサービスが異なります。複数の保険会社の情報を比較検討することをおすすめします。
- 安易な解約は避ける: 今まで払い込んだ保険料が無駄になってしまう、新しい保険に加入できない、といったリスクも考慮し、現在の保険を解約する際は慎重に検討しましょう。
まとめ
定年後の生活を見据えた保険の見直しは、将来の不安を減らし、安心して暮らすための大切なステップです。まずはご自身の加入している保険を把握し、定年後に必要となりそうな保障について考えてみましょう。
保険の見直しは複雑に感じることもあります。ご自身だけで判断するのが難しい場合は、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなど、お金の専門家に相談してみるのも一つの方法です。ただし、特定の保険商品を勧められる可能性があるため、ご自身の状況や希望をしっかり伝え、納得できるまで説明を聞くようにしてください。
計画的にお金と向き合い、賢く保険を活用することで、定年後の生活をより安心できるものにしていきましょう。