老後資金準備はいつから?人生とお金の計画を立てる方法【初心者向け】
「定年後、お金は足りるのだろうか?」 「漠然と将来のお金が不安だけど、何から始めたら良いか分からない。」
そういったお悩みをお持ちではありませんか?
人生には、就職、結婚、子育て、住宅購入、そして定年後の生活など、さまざまなお金のイベントがあります。こうしたイベントにかかるお金を計画的に準備しておくことは、将来の不安を和らげ、安心して暮らしていくためにとても大切です。
特に、50代を迎え、定年が見え始めてくる頃には、老後資金について具体的に考え始める方も多いでしょう。しかし、「一体いくら必要なのか」「どうやって準備するのか」など、分からないことだらけかもしれません。
この記事では、初心者の方でも分かりやすいように、人生とお金の計画を立てる基本的な考え方と、その具体的なステップをご紹介します。この機会に、あなた自身の「お金の設計図」を一緒に考えてみましょう。
人生とお金の計画(ライフプランニング)とは?
人生とお金の計画とは、あなたのこれからの人生で起こりうる様々な出来事(ライフイベント)と、それに必要となるお金について、長期的な視点で考えていくことです。専門的には「ライフプランニング」とも呼ばれます。
例えば、以下のようなことがライフイベントとして挙げられます。
- 結婚、出産、育児
- 住宅の購入、リフォーム
- 子供の教育資金の準備
- 親の介護
- 自分自身の病気やケガ
- 退職、セカンドライフ
- 相続
これらのイベントの時期や、それにかかるおおよそのお金を予測し、いつまでにいくら必要になるかを把握することが、お金の計画の第一歩となります。
なぜ、このような計画が必要なのでしょうか?
- 漠然とした不安を解消するため: 将来のお金に対する不安は、多くの場合、「分からない」ことから生まれます。必要な時期と金額が具体的に見えてくれば、「何を、いつまでに、どれくらいやれば良いか」が明確になり、不安が和らぎます。
- 目標を明確にするため: いつまでにいくら必要か、という目標ができることで、日々の家計管理や資産運用に取り組むモチベーションにつながります。
- 対策を立てるため: 目標に対して現状がどうなのか、足りない場合はどうすれば良いのか(収入を増やす、支出を減らす、効率的に貯める・増やすなど)、具体的な対策を考えることができます。
特に、老後資金については、公的年金だけでは十分でない場合が多く、ご自身での準備が非常に重要になります。定年までの残り時間を考慮すると、50代からでも計画的に準備を始めることが推奨されます。
人生とお金の計画を立てる3つのステップ
では、具体的にどのように計画を立てていけば良いのでしょうか。ここでは、初心者の方でも取り組みやすい3つのステップをご紹介します。
ステップ1:これからの人生のイベントと時期を書き出してみましょう
まずは、あなたのこれからの人生で起こりうる主なライフイベントをリストアップし、おおよその時期を書き出してみましょう。
手書きのメモやExcelなど、使い慣れたもので構いません。簡単な「人生の年表」を作成するようなイメージです。
- 例:
- (あなたの年齢): 現在
- (あなたの年齢+5年): 子供が大学卒業予定
- (あなたの年齢+10年): 住宅ローン完済予定
- (あなたの年齢+15年): 定年退職予定
- (あなたの年齢+20年): セカンドライフでの趣味・旅行
- (あなたの年齢+25年): 介護が必要になる可能性
もちろん、将来のことは正確には分かりません。しかし、現時点で想定できることを書き出すだけでも、今後の見通しを立てる上で大きな助けになります。
ステップ2:それぞれのイベントにかかるお金を概算してみましょう
ステップ1で書き出したそれぞれのライフイベントに、おおよそいくらくらいのお金が必要になるか、概算してみましょう。
- 教育資金: 大学の学費は私立か国公立かなどで大きく変わります。文部科学省や各大学のウェブサイトなどを参考に、おおよその金額を調べてみましょう。
- 住宅資金: 住宅購入を検討している場合は、頭金や諸費用、今後のローン返済額などを考慮します。リフォームであれば、その費用を考えます。
- 老後資金: これが最も気になる点かもしれません。総務省の家計調査などを参考に、「夫婦二人の無職世帯の平均的な生活費」といった情報を参考に、年間や月間の支出を想定してみましょう。そこから、公的年金で受け取れるであろう金額(ねんきん定期便などで確認できます)を差し引いた不足額が、ご自身で準備すべきおおよその金額となります。例えば、平均寿命まで生きると仮定して、何年間分の不足額を準備する必要があるかを計算します。
金額を調べる際は、インターネット検索でも多くの情報を得られますが、あくまで目安として考えましょう。完璧な金額を出す必要はありません。ざっくりとした概算でも十分に役立ちます。
ステップ3:目標達成のために「今」できることを考えましょう
ステップ1と2で、いつ、いくらくらいのお金が必要になるかの概算ができました。次に、その目標を達成するために、「今」そして「これから」何ができるかを具体的に考えます。
- 収入と支出の見直し: まずは、現在の収入と支出を正確に把握することが基本です。毎月の支出を把握し、無駄がないか見直すことで、貯蓄や運用に回せるお金を増やすことができる場合があります。
- 貯蓄目標の設定: 具体的な目標金額と時期が決まれば、「毎月いくら貯蓄に回せば良いか」という具体的な目標が見えてきます。
- 資産運用の検討: 貯蓄だけでは目標達成が難しい場合や、効率的にお金を増やしたい場合は、資産運用を検討するのも一つの方法です。NISAやiDeCoといった制度は、税制優遇を受けながら資産形成ができるため、特に初心者の方におすすめされることが多いです。ご自身の許容できるリスクの範囲で、検討を進めてみましょう。
これらのステップを通じて、「いつまでに、いくら準備するために、毎月(または毎年)いくら貯蓄・運用していく必要があるのか」という具体的な道筋が見えてくるはずです。
計画を立てる上でのポイント・注意点
人生とお金の計画を立てることは大切ですが、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 完璧を目指さない: 将来の予測は不確実な部分も多いです。病気や予期せぬ支出、あるいは嬉しい出来事による出費増など、計画通りにいかないこともあります。まずは現時点で考えられる範囲で、ざっくりと作成することから始めましょう。
- 定期的に見直す: 人生の状況は常に変化します。結婚、出産、転職など、大きなライフイベントがあった際には、計画を一度見直すようにしましょう。最低でも1年に一度は、計画と現状を照らし合わせてみることをおすすめします。
- 専門家の活用も検討する: 自分一人で計画を立てるのが難しいと感じる場合や、より専門的なアドバイスが欲しい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談することを検討してみるのも良いでしょう。
人生とお金の計画は、一度作ったら終わりではありません。変化に合わせて柔軟に見直し、ご自身の人生の羅針盤として活用していくことが大切です。
まとめ
人生とお金の計画を立てることは、将来に対する漠然とした不安を具体的な目標に変え、安心して人生を歩んでいくための強力なツールとなります。
- あなたの人生の主なイベントと時期を書き出す。
- それぞれのイベントに必要な概算費用を調べる。
- 目標達成のために、今できること(支出の見直し、貯蓄、資産運用など)を具体的に考える。
この3つのステップから、ぜひ始めてみてください。
完璧な計画でなくて構いません。まずは一歩踏み出し、ご自身の将来について具体的に考える時間を持つことが大切です。この計画が、あなたの安心できる未来への第一歩となることを願っています。