【初心者向け】親の介護費用はいくら?知っておきたいお金のきほんと備え方
親の介護にかかる費用、漠然とした不安はありませんか?
年齢を重ねるにつれて、ご自身の老後資金だけでなく、離れて暮らす、あるいは一緒に暮らしているご両親のことが気になってくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に「もし親に介護が必要になったら、どれくらいお金がかかるのだろうか?」という疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
親の介護にかかる費用は、介護の状況や利用するサービスによって大きく異なります。そのため、「〇円あれば大丈夫」と断言することは難しいのが現実です。しかし、介護にかかる費用の目安や、利用できる公的な制度、そしてそれにどう備えるべきかを知っておくことは、漠然とした不安を解消し、今後の準備を始める上で非常に役立ちます。
この記事では、親の介護にかかる費用について、初心者の方にも分かりやすく基本から解説します。
親の介護にはどのくらいお金がかかる?費用の目安
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護に必要となる費用は、一時的な費用(住宅改修や介護用ベッドの購入など)と月々の費用に分けられます。
- 一時的な費用(初期費用)の合計: 平均で約74万円
- 月々かかる費用: 平均で月額約8.3万円
これはあくまで平均値であり、個々のケースによって大きく異なります。
費用の違いは、何によって生まれるのか?
費用が異なる主な要因は以下の通りです。
- 介護期間: 介護が長期にわたるほど、総額の費用は大きくなります。
- 要介護度: 介護の必要度が高い(要介護度が高い)ほど、必要なサービスが増え、費用も高くなる傾向があります。
- サービスの利用頻度・内容: 在宅介護でヘルパーさんの利用頻度が高い場合や、デイサービスなどを多く利用する場合、費用はかさみます。
- 施設の種類: 介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、施設に入居する場合は、入居一時金や月額利用料がかかります。施設の場所やサービス内容によって費用は大きく変わります。
自宅での介護を中心に進める場合と、施設に入居する場合では、かかる費用やかかる項目の種類が大きく異なります。
介護に関する公的な制度を知っておこう「介護保険制度」
介護にかかる費用負担を軽減するために、公的な制度として介護保険制度があります。これは、40歳以上の方が加入し、介護が必要になった際にサービスを利用できる仕組みです。
- サービスの利用: 要介護認定を受けることで、訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などの様々なサービスを、原則として費用の1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担で利用することができます。
- 高額介護サービス費: 1ヶ月あたりの自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超えた分の金額が払い戻される制度です。所得に応じて上限額が設定されており、自己負担が過重にならないよう配慮されています。
介護保険制度を活用することで、自己負担を抑えながら必要な介護サービスを受けることが可能です。まずは、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談し、どのようなサービスが利用できるのか、手続きはどうすれば良いのかを確認してみるのが良いでしょう。
親の介護費用にどう備える?考えるべきステップ
親の介護費用への備えは、すぐに多額の資金を用意する必要があるとは限りませんが、早い段階から考え始めることが大切です。
-
まずは家族で話し合う: 親御さん、ご兄弟がいれば、介護に対する考えや、もし介護が必要になった場合の役割分担、費用のことなどを話し合う機会を持つことが非常に重要です。お金の話はしづらいかもしれませんが、事前に話し合っておくことで、いざという時に慌てず対応できる可能性が高まります。
-
親御さんの資産状況を確認する: 親御さんが介護のためにどのくらいの資金を準備できているか、預貯金や保険、不動産などの資産がどのくらいあるのかを知ることは、具体的な備えを考える上で不可欠です。もちろん、プライベートなことなので話し合いは慎重に進める必要があります。親御さん自身が自分の資産をどのように活用したいと考えているかを聞いてみるのも良いでしょう。
-
子としての備えを考える: 親御さんの資産だけで介護費用をまかなえない場合、子が費用を負担する必要が出てくる可能性もあります。ご自身の家計状況や将来のライフプラン(ご自身の老後資金計画など)を踏まえ、無理のない範囲でどのように協力できるかを検討します。
- すぐにまとまったお金を用意するのが難しくても、毎月少しずつ介護費用として貯蓄していく、という方法も考えられます。
- 生命保険や医療保険の中には、介護保障特約が付いているものや、介護一時金を受け取れる商品もあります。現在加入している保険の内容を確認したり、必要に応じて検討したりすることも選択肢の一つです。
-
情報収集を続ける: 介護制度は改正されることもありますし、利用できるサービスも地域によって異なります。常に最新の情報を得るように心がけましょう。市区町村の窓口や地域包括支援センターは、介護に関する専門的な相談に乗ってくれる心強い存在です。
まとめ
親の介護にかかる費用は不確定要素が多く、不安を感じやすいテーマです。しかし、費用には目安があること、そして介護保険制度などの公的な支援があることを知っておくことで、不安を少し軽減できるかもしれません。
最も大切なのは、「いつか起こるかもしれないこと」として受け止め、早めに家族で話し合い、親御さんの状況を把握し、そして自分自身の家計状況と照らし合わせて無理のない範囲で備えを考え始めることです。
介護は、お金の問題だけでなく、様々な要素が絡み合うデリケートな問題です。一人で抱え込まず、利用できる制度や相談窓口を頼りながら、家族と協力して乗り越えていくことが大切と言えるでしょう。この記事が、親の介護費用について考え始めるための一助となれば幸いです。