【初心者向け】将来受け取れる年金額を知る!「ねんきん定期便」「ねんきんネット」の見方・使い方
はじめに
老後の生活資金について、「年金は一体いくらもらえるのだろうか」と漠然とした不安を感じている方は多いかもしれません。将来受け取れる年金額を知ることは、安心して老後を迎えるための第一歩となります。
公的年金制度からは、ご自身の年金記録や見込額に関する大切なお知らせが届いています。それが「ねんきん定期便」です。また、オンラインでより詳細な情報を確認できる「ねんきんネット」という便利なサービスもあります。
この記事では、お金の初心者の方に向けて、「ねんきん定期便」の見方と、「ねんきんネット」の活用方法を分かりやすく解説します。これらのツールを理解し活用することで、ご自身の将来の年金額を把握し、より具体的な老後資金の計画を立てるヒントになれば幸いです。
「ねんきん定期便」とは?
「ねんきん定期便」は、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくる、ご自身の年金加入記録や将来受け取れる年金の見込額などが記載された大切なお知らせです。これは、いわば「あなたの年金に関する通知表」のようなものです。
この定期便には、これまでの保険料納付状況や、年金の加入期間などが記録されています。これを確認することで、ご自身の年金が今どうなっているのかを知ることができます。
いつ届く?
「ねんきん定期便」は、毎年1回、ご自身の誕生月に日本年金機構から郵送で届きます。ただし、35歳、45歳、59歳の方には、これまでの全ての期間の年金記録が記載された「封書」タイプのものが届きます。それ以外の年齢の方には、はがきタイプのものが届くことが一般的です。
「ねんきん定期便」の主な記載内容
はがきタイプの場合、主に以下の内容が記載されています。
- これまでの加入期間: 国民年金や厚生年金など、それぞれの制度に加入していた期間が表示されます。
- これまでの保険料納付状況: 国民年金保険料や厚生年金保険料が、きちんと納められているかが分かります。未納期間などがないか確認しましょう。
- 年金見込額: これまでの加入実績に応じて、将来受け取れると見込まれる年金額が表示されます。
特に重要なのが「年金見込額」です。ただし、この見込額の表示方法は、送付されるご自身の年齢によって異なります。
年金見込額の見方(年齢別)
- 50歳未満の方: これまでの加入実績に応じた「年金額」が記載されています。ただし、これはあくまで「現時点」で年金を受け取ると仮定した場合の年金額です。今後も働き続けた場合の正確な見込額ではありません。将来の年金額をイメージするための参考として捉えてください。
- 50歳以上の方: これまでの加入実績に加えて、今後も厚生年金であれば60歳まで、国民年金であれば60歳まで(またはそれ以降、任意加入した場合)保険料を納め続けたと仮定した場合の年金見込額が記載されています。より将来受け取れる金額に近い目安となります。
50歳以上の方の見込額は、より具体的な将来の目安となりますが、働き方や収入が変われば金額も変動する可能性があります。あくまで「現時点での仮定に基づいた見込額」であることを理解しておくことが大切です。
「ねんきん定期便」で確認すべきポイント
定期便が届いたら、以下の点を必ず確認しましょう。
- 加入期間に漏れはないか: 過去の勤務先や転職時の期間など、ご自身の記憶と照らし合わせて、加入期間に空白や漏れがないか確認します。
- 保険料はきちんと納められているか: 特に国民年金に加入していた期間がある方は、保険料がきちんと納付済になっているか確認しましょう。
- 氏名や生年月日などの基本情報に誤りはないか: 稀に情報に誤りがある場合もあります。
もし、記載内容に不明な点や誤りがある場合は、日本年金機構に問い合わせて確認することが重要です。
「ねんきんネット」とは?
「ねんきんネット」は、日本年金機構が提供するインターネットサービスです。パソコンやスマートフォンからアクセスすることで、ご自身の年金情報をより詳しく確認したり、将来の年金見込額を様々な条件で試算したりすることができます。
「ねんきん定期便」が紙の「通知表」だとすれば、「ねんきんネット」は「いつでもアクセスできるオンラインシステム」と言えます。
「ねんきんネット」でできること
「ねんきんネット」を利用すると、主に以下のようなことができます。
- 最新の年金記録の確認: ねんきん定期便に記載されていない最新の情報を含め、詳細な年金加入記録を確認できます。
- 年金見込額の試算: 生年月日やこれまでの加入記録に基づき、ご自身で設定した条件(例:今後何歳まで、どのような働き方をするか)を入力して、将来受け取れる年金額を試算できます。これが、ねんきん定期便だけでは分からない、よりパーソナルな将来の見込額を知る上で非常に役立ちます。
- ねんきん定期便(電子版)の閲覧: 過去の定期便を電子データで確認できます。
- 将来の年金に関するお知らせの確認: 年金に関する重要な情報を受け取ることができます。
「ねんきんネット」の利用方法
「ねんきんネット」を利用するには、まずユーザーIDを取得する必要があります。
- ユーザーIDの取得:
- 毎年届く「ねんきん定期便」に記載されている照会番号(11桁の数字)を使って、ユーザーIDを取得する方法があります。
- マイナンバーカードを持っている方は、「マイナポータル」からも連携して利用できます。
- 照会番号が分からない場合などは、郵送でユーザーIDの発行を申請することも可能です。
- ログイン: 取得したユーザーIDとご自身で設定したパスワードを使って、「ねんきんネット」にログインします。
- 情報の確認・試算: ログイン後、マイページからご自身の年金記録を確認したり、年金見込額の試算を行ったりできます。
特に試算機能はぜひ活用してみてください。 「あと〇年働いたら」「収入がこれくらい変わったら」など、いくつかのパターンで試算してみることで、将来の年金額が具体的にイメージできるようになります。
「ねんきん定期便」「ねんきんネット」を老後資金計画にどう活かすか
これらのツールでご自身の年金見込額を把握することは、老後資金計画のスタート地点となります。
- 将来の収入の基盤を知る: 年金見込額は、退職後に受け取る基本的な生活資金の柱となります。まずは、これがおおよそいくらになりそうかを知ることが重要です。
- 必要な資金との差を把握する: ご自身が考えるゆとりのある老後生活に必要な生活費(例えば、夫婦で月〇万円など)と、年金見込額との差額が、iDeCoやNISAなど他の方法で準備する必要がある金額の目安となります。
- 資産形成の目標を具体的にする: 不足する金額が分かれば、「あと〇年で〇〇万円を貯める、増やす」といった具体的な資産形成の目標設定につながります。
- 年金記録を確認し、将来の不安を減らす: 定期便やねんきんネットでご自身の加入記録をきちんと確認することで、「将来、年金が本当にもらえるのだろうか」といった漠然とした不安を解消することにもつながります。
まとめ
「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」は、ご自身の公的年金に関する大切な情報を知るための、国が提供するツールです。
- ねんきん定期便: 毎年届く、ご自身の年金加入記録と現時点での年金見込額のお知らせです。まずは内容を確認し、記録に間違いがないかチェックしましょう。
- ねんきんネット: オンラインでより詳細な年金記録の確認や、将来の年金見込額を自分で条件を設定して試算できる便利なサービスです。ぜひユーザーIDを取得して活用してみてください。
これらのツールを使ってご自身の年金額を知ることは、決して難しいことではありません。少し手間はかかりますが、将来の安心のためには非常に価値のある一歩です。
ご自身の年金見込額を把握できれば、そこから「あといくら準備が必要なのか」という具体的な課題が見えてきます。その課題に対して、iDeCoやつみたて投資枠のNISAなど、ご自身に合った方法で資産形成を検討していくことが、安心して老後を迎えるための大切なステップとなるでしょう。
まずは、お手元に届いた「ねんきん定期便」を開いてみる、そして「ねんきんネット」にアクセスしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。