【初心者向け】自分のお金の「リスク許容度」を知るには?考え方とチェックリスト
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「老後資金の準備を始めたいけれど、資産運用って何だか難しそう」「投資に興味はあるけれど、お金が減ってしまうのが怖い」
そうお考えの初心者の方にとって、まず知っておきたい大切な考え方に「リスク許容度」があります。
この記事では、リスク許容度とは何か、なぜ自分に合ったリスク許容度を知ることが重要なのかを分かりやすく解説します。また、ご自身の状況を振り返るための簡単なチェックリストもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
リスク許容度とは何ですか?
資産運用における「リスク許容度」とは、簡単に言うと「あなたが、お金が一時的に減ってしまう可能性(リスク)を、どれくらい受け入れられるか」という度合いのことです。
「リスク」と聞くと、「危険」や「損失」といったマイナスのイメージが強いかもしれません。しかし、資産運用において「リスク」は、値動きの「振れ幅」や「不確実性」を表す言葉として使われます。
例えば、価格が大きく変動する可能性がある商品は「リスクが高い」と言われます。一方で、価格変動が小さい商品は「リスクが低い」と言われます。一般的に、リスクが高い商品は、期待できるリターン(利益)も大きい傾向にありますが、その分、損失が出る可能性も高くなります。逆に、リスクが低い商品は、期待できるリターンは小さいですが、損失が出にくい傾向があります。
なぜ「自分に合った」リスク許容度を知ることが大切なのですか?
資産運用を始める際に、自分のリスク許容度を把握しておくことは、無理なく運用を続け、目標達成の可能性を高めるために非常に大切です。
- 無理のない運用を続けるため: 自分のリスク許容度を超えるような、値動きの激しい商品に投資してしまうと、相場が下がった時に精神的に大きなストレスを感じやすくなります。不安に駆られて焦って売却してしまい、結果として損失を確定させてしまう、といった事態になりかねません。自分に合ったリスクレベルであれば、相場が一時的に下がっても冷静に対応しやすくなります。
- 目標達成の可能性を高めるため: 目標とする資産額や、それが必要になる時期(例えば定年退職する〇年後など)によって、取るべきリスクの度合いは変わってきます。適切なリスクを取ることで、目標とするリターンを得られる可能性が高まります。
- 感情的な判断を避けるため: 相場の変動に一喜一憂せず、あらかじめ決めた方針に基づいて運用を続けるためには、自分のリスク許容度を理解し、それに合った運用計画を立てておくことが役立ちます。
自分のリスク許容度を見つけるための考え方
ご自身の「リスク許容度」を考える際には、いくつかの視点から状況を整理してみることが役立ちます。
- 投資の「目的」と「目標時期」: 何のために資産運用をするのでしょうか?老後資金のため?マイホーム購入のため?目的によって、運用できる期間(目標時期までの長さ)や、必要な金額は異なります。一般的に、運用期間が長いほど、一時的な価格変動の影響を受けにくいため、比較的リスクを取りやすいと考えられます。
- 投資に回せる「金額」: 生活に必要な資金や、近い将来に使う予定のあるお金は、預貯金などで確保しておくことが基本です。資産運用に回せるのは、こうした「余裕資金」の範囲であるべきです。投資に回せる金額が大きいほど、運用の一部で損失が出ても、家計全体への影響は小さくなります。
- 投資経験の有無: 資産運用が初めての場合、まずはリスクを抑えた方法から始めるのが安心です。経験を積むことで、徐々に理解が深まり、リスク許容度も変わってくることがあります。
- 損失への「心理的な耐性」: これが最も重要な要素かもしれません。もし投資したお金が一時的に大きく減ってしまった場合、あなたは冷静でいられるでしょうか?夜眠れなくなってしまう、毎日相場が気になって仕方ない、といった状態になるようであれば、リスク許容度は低いと言えます。
- 収入や資産の状況: 安定した収入があるか、投資以外にも十分な貯蓄や資産があるかどうかも、リスク許容度を考える上で考慮に入れるべき点です。経済的な基盤がしっかりしているほど、投資における一時的な損失にも耐えやすくなります。
簡単なリスク許容度チェックリスト
以下の質問について、ご自身の状況や考え方に近いものを選んでみてください。これはあくまで簡単な目安を知るためのものであり、専門家による診断に代わるものではありません。
| 質問 | はい(〇) | いいえ(×) | | :------------------------------------------------------------------- | :--------- | :---------- | | 1. 資産運用で得た利益は、概ね10年以上先に使う予定である。 | | | | 2. 生活に必要な資金とは別に、当面使う予定のない余裕資金が十分にある。 | | | | 3. 投資したお金が一時的に20%程度減っても、すぐに売却せず様子を見られると思う。 | | | | 4. 定期的な安定した収入がある。 | | | | 5. 投資に関する情報収集や、価格変動について学ぶことに抵抗がない。 | | |
チェックリストのヒント:
- 「はい(〇)」が多いほど、比較的リスク許容度は高いと考えられます。
- 「いいえ(×)」が多いほど、慎重にリスクを抑えた運用から始めるのが良いかもしれません。
- 特に質問3は、あなたの心理的な耐性を測る重要なポイントです。「20%減ったら心配で仕方ない」と感じる場合は、リスク許容度は低いと考えられます。
リスク許容度に合わせて運用方法を考える(例)
ご自身の考え方やチェックリストの結果を踏まえて、どのような運用方法が考えられるか、簡単な例を挙げます。
- リスク許容度「低い」と感じた方: 元本割れのリスクが非常に低い、またはほとんどない方法から検討できます。例えば、銀行の定期預金、個人向け国債などです。また、投資信託を選ぶ場合も、国内外の債券を中心に投資するタイプなど、比較的値動きが安定している商品から始めてみるのが考えられます。
- リスク許容度「中間」だと感じた方: ある程度の価格変動は受け入れられるという場合、国内外の株式と債券にバランス良く投資する投資信託や、複数の資産に分散投資する方法などを検討できます。つみたて投資を利用すれば、毎月一定額を自動で購入するため、価格変動の波を平準化する効果(ドルコスト平均法)も期待できます。
- リスク許容度「高い」と感じた方: より積極的にリターンを狙いたい場合、株式の比率を高める運用なども考えられますが、その分、価格変動のリスクも高くなります。初心者の方がいきなり大きなリスクを取ることは、避けた方が賢明かもしれません。まずは「中間」程度のリスクから始めて、徐々に慣れていくのも良いでしょう。
まとめ
「リスク許容度」は、あなたが無理なく資産形成を続けるために、そして目標達成に向けて計画的に進んでいくために、とても大切な考え方です。
まずは、ご自身の資産運用の目的、目標時期、そして何よりも「お金が減ってしまう可能性をどれくらい受け入れられるか」という、ご自身の正直な気持ちに向き合ってみることが第一歩です。
この記事でご紹介した考え方やチェックリストが、ご自身の「リスク許容度」を知るための一助となれば幸いです。
自分に合ったリスク許容度が分かったら、次は具体的な運用方法や商品選びへと進んでいきます。焦らず、一つずつ理解を深めながら、ご自身のペースで資産形成に取り組んでいきましょう。必要であれば、専門家にお金の相談をしてみることも有効な選択肢です。