【初心者向け】個人向け国債は安全?仕組みと活用法を分かりやすく解説
老後の生活資金や将来のお金について、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。資産形成の方法として、NISAやiDeCoといった投資について耳にする機会も増えましたが、「投資は難しそう」「元本が減るのは怖い」と感じる方も少なくないでしょう。
「お金のきほんガイド」では、そういった金融知識に自信がない初心者の方に向けて、分かりやすいお金の情報を発信しています。
この記事では、比較的リスクが低い資産運用方法の一つとして知られる「個人向け国債」について、その仕組みやメリット・デメリット、そしてどんな人に向いているのかを解説します。投資と聞くと身構えてしまう方も、まずは個人向け国債という選択肢を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
個人向け国債とは何ですか?
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券です。債券とは、国や企業などが資金を借りるために発行する借用証書のようなものです。国は、私たちからお金を借りて、その代わりに「〇年後に元本をお返しします」「それまで利子を支払います」という約束をします。この「借用証書」が債券にあたります。
個人向け国債は、特に個人の方々が購入しやすいように、最低購入金額が1万円からとなっているなどの特徴があります。
「国の借金」という言葉を聞くと、不安になる方もいるかもしれません。しかし、個人向け国債は国が「個人の皆さんからお金を借りたい」と募集している商品であり、国が責任をもって元本と利子を支払うという約束に基づいています。日本がデフォルト(債務不履行)しない限り、元本や利子が支払われないというリスクは極めて低いと考えられています。
個人向け国債の仕組み
個人向け国債にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的なものについて解説します。
- 変動10年:
- 期間:10年
- 金利:半年ごとに見直される
- 特徴:金利が市場の状況に合わせて変動するため、今後の金利上昇に強いとされています。
- 固定5年:
- 期間:5年
- 金利:満期まで固定
- 特徴:購入時に将来受け取る金利が確定します。金利変動リスクを避けたい方向けです。
- 固定3年:
- 期間:3年
- 金利:満期まで固定
- 特徴:固定5年債券と同様、金利は満期まで固定されます。より短い期間で運用したい方向けです。
どのタイプも、1万円から購入できます。利子は半年ごとに支払われます。
中途換金について 個人向け国債は、原則として発行から1年が経過すれば、いつでも換金(売却)することができます。ただし、中途換金する際には、いくつかの制約があります。例えば、直前2回分の各利子(税引前)相当額が差し引かれることになります。満期まで保有すれば、元本が保証され、額面金額を受け取ることができます。
個人向け国債のメリット
個人向け国債には、初心者にとって魅力的なメリットがいくつかあります。
- 安全性が高い: 国が発行しているため、日本の信用度が非常に高い限り、元本割れのリスクは極めて低いと考えられます。(ただし、中途換金時の制約には注意が必要です。)預金保険制度の対象ではないものの、国の信用力に裏付けられています。
- 手軽に始められる: 最低1万円から購入できるため、まとまった資金がなくても少額から始められます。購入手続きも、証券会社や銀行などで比較的簡単に行うことができます。
- 金利タイプが選べる: 変動金利型と固定金利型があり、将来の金利動向への考え方に応じて選べます。特に変動金利型は、低金利が続く状況でも、今後の金利上昇に対応できる可能性があります。
- 半年ごとに利子を受け取れる: 定期的に利子が入金されるため、資産が増えていくことを実感しやすいでしょう。
個人向け国債のデメリット・注意点
メリットだけでなく、注意しておきたい点もあります。
- 中途換金に制約がある: 発行から1年未満は原則として換金できません。1年経過後でも、直前2回分の利子が差し引かれるため、満期まで保有しない場合は、受け取る金額が少なくなる可能性があります。急な出費のためにすぐにお金が必要になる可能性がある資金は、個人向け国債ではなく預金にしておく方が安心です。
- インフレに弱い可能性がある: 物価が上昇する(インフレーション)と、お金の価値は実質的に目減りします。例えば、100円で買えていたものが110円にならないと買えなくなった場合、同じ100円の価値は下がったと言えます。個人向け国債の金利が物価の上昇率を下回ると、受け取る利子や元本が、インフレによって目減りしたお金の価値を補いきれない可能性があります。特に固定金利型の場合は、満期まで金利が変わらないため、インフレリスクに注意が必要です。変動金利型はある程度インフレに対応できる仕組みになっていますが、それでも追いつかない場合もあります。
- 大きなリターンは期待できない: 個人向け国債は安全性が高い分、株式投資や投資信託に比べて、得られるリターン(利子)は一般的に控えめです。「お金を大きく増やしたい」という目的にはあまり向いていません。
どんな人に向いている?
個人向け国債は、以下のような方に特に向いていると考えられます。
- 投資は初めてで、まずは元本割れが怖いと感じている方
- 銀行預金よりは少しでも有利に運用したいと考えている方
- 当面使う予定のない資金を、安全性を重視して預けておきたい方
- 他の金融商品(株式や投資信託など)と組み合わせて、ポートフォリオ全体の安全性を高めたいと考えている方
特に、定年後の資金について考え始めた50代の方で、リスクを抑えて少しずつでも資産を増やしたいという思いがある方にとって、個人向け国債は検討する価値のある選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、個人向け国債の基本的な仕組みや、メリット・デメリットについて解説しました。
- 個人向け国債は国が発行する債券で、比較的安全性が高い金融商品です。
- 最低1万円から購入でき、手軽に始められます。
- 満期まで保有すれば元本が保証されますが、中途換金時には制約があります。
- 安全性は高い反面、大きなリターンは期待できず、インフレリスクには注意が必要です。
個人向け国債は、「安全性を重視して、少しでもお金を増やしたい」という方に適した金融商品と言えます。しかし、これ一つで将来の資金すべてを準備できるわけではありません。ご自身の年齢やライフプラン、リスクに対する考え方などを踏まえ、他の資産運用方法(NISAを活用した投資信託の積立など)と組み合わせることも検討しながら、自分に合った資産形成の方法を見つけていくことが大切です。
この記事が、あなたのお金について考えるきっかけとなれば幸いです。