【初心者向け】投資信託のきほん 仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説
「投資信託」という言葉を聞いたことはありますか? NISAやiDeCoといった、老後資金の準備や資産形成に関する話題で、この言葉を耳にする機会が増えているかもしれません。
しかし、「投資」と聞くと難しそう、損をするのが怖い、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、これまで資産運用に馴染みがなかった方にとっては、どのようなものか、どう始めれば良いのか、よく分からないかもしれません。
この記事では、投資信託とはどのようなものなのか、その基本的な仕組みから、どのような種類があるのか、そしてメリットやデメリット、始めるためのステップまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読んで、投資信託に関する疑問を解消し、ご自身の資産形成について考えるきっかけとしていただければ幸いです。
投資信託とは?分かりやすく解説
まず、「投資信託」がどのようなものか、簡単に説明します。
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金を一つにまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャーなど)が株式や債券、不動産といったさまざまな資産に投資・運用する金融商品です。そして、そこで得られた利益を、投資額に応じて投資家に分配するという仕組みです。
例えるなら、みんなでお金を出し合って、専門家にお金集めと買い物(投資)をお願いし、買い物の成果(利益)を山分けするようなイメージです。個人ではたくさんの種類の株や債券を少しずつ買うのは大変ですが、投資信託ならそれが可能になります。
投資信託の仕組み
投資信託には、主に以下の3つの登場人物がいます。
- 投資家: 私たちのように、お金を出して投資信託を購入する人たちです。
- 運用会社: 投資家から集めたお金を預かり、どのような資産に投資するかを決め、実際に運用を行う専門家集団です。彼らが「プロに運用を任せる」と言われる存在です。
- 受託会社(信託銀行など): 投資家から集めたお金や、運用している資産を管理・保管する役割を担います。運用会社とは独立した立場で管理するため、仮に運用会社が破綻しても投資家の資産は守られる仕組みになっています。
- 販売会社: 投資家が投資信託を購入できる窓口です。銀行や証券会社などがこれにあたります。
私たちは販売会社を通じて投資信託を購入し、運用会社が受託会社に預けられた資金を運用し、その成果が受託会社を経由して私たち投資家に還元される、という流れになっています。
なぜ投資信託が初心者におすすめされるのか
投資信託が初心者の方にすすめられることが多いのには、いくつかの理由があります。
- 少額から始めやすい: 多くの投資信託は、1万円程度、あるいはネット証券などでは100円や500円といった非常に少額から購入することができます。まとまった資金がなくても始められるため、投資へのハードルが低くなります。
- 分散投資がしやすい: 投資信託は、最初から複数の資産や銘柄に分散して投資されています。例えば、一つの投資信託を買うだけで、国内外の数十、数百もの企業の株式に分散投資できるものもあります。これにより、特定の資産や企業の値動きによる影響を和らげ、リスクを分散する効果が期待できます。
- 運用の専門家にお任せできる: 自分でどの会社の株を買うか、いつ売買するかなどを判断するのは、知識や情報収集、分析が必要です。投資信託なら、これらの判断や実際の運用はプロである運用会社に任せることができます。
- 多様な種類がある: 投資対象や運用方針によって、さまざまな種類の投資信託があります。自分の目的やリスクに対する考え方に合ったものを選びやすくなっています。
投資信託の主な種類
投資信託は、主にどのような資産に投資しているかによって分類されます。代表的なものをいくつかご紹介します。
- 株式投資信託: 主に国内外の株式に投資します。値上がりが期待できる反面、価格変動リスクは比較的高めになる傾向があります。
- 債券投資信託: 国や企業が発行する債券に投資します。株式に比べて一般的に価格変動リスクは低い傾向がありますが、リターンも株式ほど大きくないことが多いです。
- バランス型投資信託: 株式、債券、不動産投信(REIT)、ときには商品(金など)といった複数の資産クラスに、あらかじめ決められた割合で分散投資を行います。資産配分の調整をプロが行ってくれるものが多く、これ一つで分散投資が実現できます。
- 不動産投信(REIT): オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産に投資し、そこから得られる賃貸収入や売買益を投資家に分配します。少額から不動産への投資ができる点が特徴です。
この他にも、特定の国や地域、特定のテーマ(例: ロボット、AI、環境関連など)に投資する投資信託など、非常に多岐にわたる種類があります。
投資信託のメリットとデメリット
投資信託には、魅力的な点がある一方で、注意しておきたい点もあります。
メリット
- 少額から手軽に始められる
- 専門家による運用で手間がかからない
- 分散投資によってリスクを抑える効果が期待できる
- 多様な種類から自分に合ったものを選べる
- いつでも購入・換金できるものが多い
デメリット
- 元本保証がない: 預金とは異なり、投資したお金(元本)が保証されているわけではありません。運用がうまくいかない場合は、損をする可能性があります。
- 手数料がかかる: 投資信託の購入時や保有中、換金時などに手数料がかかる場合があります。手数料の種類や金額は投資信託によって異なりますので、事前に確認することが重要です。
- 運用はプロに任せきりになる: 運用の判断はプロが行いますが、それが必ずしも良い成果につながるとは限りません。また、自分の意向とは違う運用になる可能性もあります。
- 基準価額の変動: 投資信託の価値は「基準価額」として毎日変動します。市場の状況によって基準価額が下がり、損益が発生する可能性があります。
投資信託を始めるには
投資信託を始めるには、まず証券会社や銀行などの販売会社に「証券口座」を開設する必要があります。口座開設にはマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要になります。
口座開設後、どの投資信託を購入するかを選びます。たくさんの種類があって迷ってしまうかもしれませんが、以下の点を参考にしてみましょう。
- 投資の目的を考える: なぜ投資をするのか(老後資金、教育資金など)、いつまでに資金が必要なのかなどを考えます。
- リスク許容度を考える: どのくらいの価格変動なら受け入れられるか、自分がどれくらいのリスクを取れるかを考えます。一般的に、リターンを高く目指すほどリスクも高くなる傾向があります。
- 投資対象や運用方針を確認する: どのような資産に投資しているのか、どのような方針で運用しているのかを確認します。投資信託の説明書(目論見書)などをよく読みましょう。
- 手数料を確認する: 購入時手数料、信託報酬(保有中の運用管理費用)、換金時手数料などを確認し、コストも考慮して選びます。
迷う場合は、特定の指数(日経平均株価やS&P500など)に連動することを目指す「インデックスファンド」と呼ばれる投資信託が、比較的シンプルで手数料も低い傾向があるため、初心者の方にとって検討しやすい選択肢の一つと言えます。
まとめ
投資信託は、少額から分散投資ができ、専門家が運用を行ってくれるため、初心者の方にとって資産運用を始める有力な選択肢の一つです。ただし、元本保証はなく、価格変動リスクや手数料がかかる点には注意が必要です。
投資を始める前に、ご自身の投資の目的やリスクに対する考え方を整理し、投資信託の仕組みや特徴を理解することが大切です。一度に大きな金額を投資するのではなく、まずは少額から始めてみて、慣れてきたら少しずつ投資額を増やしていくことも考えられます。
この記事が、投資信託について理解を深め、ご自身のペースで資産形成に取り組むための一助となれば幸いです。