【初心者向け】物価高に備えるお金の守り方・増やし方
最近、食料品や日用品など、身の回りの物価が上がっていると感じる方が多いのではないでしょうか。このような物価の上昇は、私たちの暮らしだけでなく、大切なお金にも影響を与えます。
「貯金があるから安心」と思っていても、物価が上がり続けると、貯金の「金額」は変わらなくても、そのお金で買える「モノやサービス」の量が減ってしまう可能性があります。これは、お金の「実質的な価値」が目減りしてしまうということです。
この記事では、物価上昇がお金にどのような影響を与えるのか、そして、初心者の方が物価高に備えてお金を守り、増やしていくための基本的な考え方と具体的な方法について、分かりやすくお伝えします。
なぜ貯金だけでは物価上昇に弱いのか?
物価が上がることをインフレーション(インフレ)と呼びます。例えば、去年100円で買えたものが、今年は110円出す必要になった場合、物価が10%上がったということです。
このとき、もしあなたが100円を貯金していたとします。金利がゼロに近い場合、1年後も貯金の金額は100円のままです。しかし、物価が10%上がっているため、去年100円で買えたものが、もう100円では買えなくなってしまいます。
つまり、貯金の「額面」は変わらなくても、お金で買えるものの量が減ってしまい、お金の「実質的な価値」が目減りしてしまうのです。現在の日本の預貯金金利は、物価の上昇率に追いついていない状況が続いています。そのため、預貯金だけでは、知らず知らずのうちにお金の価値が減ってしまう可能性があると考えられます。
物価高に備える「お金の守り方」
物価高に備える「お金の守り方」とは、インフレによってお金の価値が目減りしてしまうことを防ぐ考え方です。
もちろん、生活費や近い将来使う予定のお金は、すぐに引き出せる預貯金として持っておくことが大切です。これは、急な支出に備えるための大切な「守り」です。
しかし、しばらく使う予定のないお金まで全て預貯金にしておくと、先ほど説明したように実質的な価値が減ってしまうリスクがあります。そこで、一部のお金を「インフレに強い」と言われるような資産に変えて持つ、という考え方が生まれます。
物価高に備える「お金の増やし方」(インフレ対策としての投資)
インフレ対策として有効とされるお金の増やし方の一つに「投資」があります。投資には様々な種類がありますが、物価上昇に対応しやすいと言われる資産として、株式や不動産などがあります。
なぜこれらの資産がインフレに強いと言われることがあるのでしょうか?
- 株式: 企業は物価の上昇に合わせて自社製品やサービスの値上げを行うことがあります。企業の売上や利益が物価上昇と共に増えれば、企業の価値も上がり、株価が上昇したり配当が増えたりすることが期待できます。
- 不動産: 不動産の価値や家賃も、物価の上昇に合わせて上がる傾向があると考えられています。
ただし、これらの資産価格は常に変動しており、必ずしも物価上昇と同じように価値が上がるわけではありませんし、価値が下がるリスクもあります。
初心者におすすめの具体的な方法
では、投資の経験がない初心者が、物価高に備えるためにどのように投資を取り入れば良いのでしょうか。大切なのは、以下の3つの原則を意識することです。
- 長期: 短期間の値動きに一喜一憂せず、長い時間をかけて資産を育てることを目指します。長期間投資することで、短期的な価格変動リスクを抑え、複利の効果(運用益がさらに利益を生む)も期待できます。
- 積立: 毎月決まった額をコツコツと投資します。これにより、価格が高い時には少なく買い、価格が低い時には多く買うことになり、平均購入価格を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
- 分散: 一つの資産や地域に集中せず、複数の資産(国内外の株式、債券など)や地域に分けて投資します。これにより、どれか一つの資産や地域が悪くなっても、全体への影響を抑えることができます。
これらの原則に基づいた投資を、税制優遇制度を活用しながら行う方法が、初心者の方にとって取り組みやすいと言えます。
例えば、つみたて投資枠のあるNISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠書年金)といった制度は、国が推奨していることもあり、これらの原則に沿った長期・積立・分散投資を行いやすくなっています。これらの制度を活用することで、将来のための資産形成を進めながら、結果として物価上昇への備えにもつながることが期待できます。
これらの制度や具体的な投資対象(投資信託など)については、当サイトの別の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
投資のリスクと注意点
投資には、物価高への備えになる可能性がある一方で、必ず知っておくべきリスクがあります。
- 価格変動リスク: 投資した資産の価格は変動するため、投資した金額を下回ってしまう(元本割れ)可能性があります。
- 元本保証はありません: 預貯金とは違い、投資には元本保証はありません。
これらのリスクを理解した上で、「無くなっても生活に困らない余剰資金」で行うことが非常に重要です。また、内容をよく理解しないまま始めるのは避けましょう。分からないことはそのままにせず、信頼できる情報源で学び、納得してから始めるようにしてください。
まとめ
物価の上昇は、私たちの生活に身近な変化をもたらしていますが、お金の価値にも影響を与えています。預貯金だけでは、物価高に対して実質的な価値が目減りしてしまう可能性があります。
物価高に備えるためには、生活に必要な預貯金は確保しつつ、しばらく使う予定のないお金の一部を「増やす」視点、つまりインフレ対策となる可能性のある資産への投資も検討することが有効な場合があります。
初心者の方でも取り組みやすい方法として、長期・積立・分散投資の原則に基づき、NISAやiDeCoのような税制優遇制度を活用した投資が挙げられます。
ただし、投資にはリスクが伴います。必ずリスクを理解し、無理のない範囲で、ご自身のペースで始めることが大切です。まずは少額から始めて、仕組みに慣れていくのも良いでしょう。物価高時代を賢く乗り切るための一歩として、お金について学び、ご自身の資産について考えるきっかけになれば幸いです。