お金の流れを「見える化」!キャッシュフローの基本と家計管理への活かし方【初心者向け】
お金の流れが見えなくて不安…キャッシュフローで解決しませんか?
「毎月いくら使っているかよく分からない」「将来のお金のことが漠然と不安」 お金について、そんなお悩みをお持ちではないでしょうか。
収入はきちんとあるはずなのに、なぜかお金が貯まらない。あるいは、将来のために備えたいけれど、何から手をつければいいのか分からない。このような不安の根本原因の一つに、「自分のお金の流れが見えていない」ということがあります。
まるで健康診断を受けずに体の状態が分からないまま過ごしているようなものです。どこに問題があるのか、どう改善すれば良いのか判断できません。
そこでおすすめしたいのが、「キャッシュフロー」を把握することです。キャッシュフローとは、簡単にお話しすると、あなたの「お金の出入り」、つまり収入と支出の流れのことです。
この記事では、初心者の方でも理解できるよう、キャッシュフローの基本から、それを家計管理にどう活かすかまでを分かりやすく解説します。お金の流れを「見える化」することで、漠然とした不安を解消し、将来に向けた確かな一歩を踏み出すヒントが得られるでしょう。
キャッシュフローとは?なぜ把握することが大切なの?
キャッシュフローの基本的な考え方
キャッシュフロー(Cash Flow)とは、「現金(Cash)の流れ(Flow)」を意味します。個人のお金に置き換えて考えると、一定期間(例えば1ヶ月)の収入の合計から、同じ期間の支出の合計を差し引いた差額のことです。
- プラスのキャッシュフロー: 収入 > 支出 の状態です。手元にお金が残る、つまり貯蓄や投資に回せる余裕がある状態です。
- マイナスのキャッシュフロー: 収入 < 支出 の状態です。手元のお金が減っていく、つまり借金したり貯蓄を取り崩したりしないと生活できない状態です。
企業の経営でも非常に重視される概念ですが、個人の家計においても、お金の「健康状態」を知る上で極めて重要な考え方なのです。
キャッシュフローを把握することの重要性
キャッシュフローを把握することには、主に次のようなメリットがあります。
- お金の現状を正確に理解できる: 「なんとなく」ではなく、具体的な数字として収入と支出のバランスが分かります。
- 問題点を発見できる: 収入に対して支出が多いのか、特定の支出が多すぎるのかなど、改善すべきポイントが見つかります。
- 将来の計画が立てやすくなる: 毎月いくら貯蓄できるのか、いくらまでなら投資に回せるのか、具体的な数字に基づいた計画が可能になります。
- お金に関する不安が軽減される: 漠然とした不安ではなく、具体的な数字として現状を把握できるため、「見える化」されることで安心感につながります。
特に、定年が視野に入ってくる年代の方にとっては、将来の収入が減少することを見越して、今のうちからお金の流れを最適化しておくことが非常に大切になります。キャッシュフローを把握することは、その第一歩なのです。
あなたのキャッシュフローを「見える化」する方法
では、具体的にどのようにして自分のお金の流れを把握すれば良いのでしょうか。いくつかの方法があります。
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家計簿をつける:
- 最も基本的な方法です。手書きの家計簿、市販の家計簿ノート、エクセルやスプレッドシートなど、様々な形式があります。
- 一定期間(まずは1ヶ月)の収入(給与、年金など)と全ての支出(食費、水道光熱費、通信費、娯楽費など)を記録します。
- 全ての支出を記録するのが大変であれば、まずは大きな支出や、クレジットカード・電子マネーでの支払いをまとめて記録することから始めても良いでしょう。
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家計簿アプリやウェブサービスを利用する:
- スマートフォンのアプリや、パソコンから利用できるウェブサービスなど、多くの家計管理ツールがあります。
- 銀行口座やクレジットカード、電子マネーと連携できるサービスが多く、自動的に入出金履歴を取り込んでくれるため、手入力の手間が省けて便利です。
- 支出をカテゴリー別に自動で分類してくれる機能もあり、何に多くお金を使っているか一目で分かりやすくなります。
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銀行や証券会社の取引履歴を確認する:
- 主に収入や、大きな支出(家賃や住宅ローン、保険料、積立投資など)の流れを把握するのに役立ちます。
- ネットバンキングを利用すれば、過去数ヶ月から数年分の入出金履歴を確認できます。
まずは、ご自身が取り組みやすい方法で構いません。1ヶ月でも良いので、収入と支出を記録・集計し、ご自身のキャッシュフローがプラスなのかマイナスなのか、何にどれだけお金を使っているのかを「見える化」してみましょう。
例えば、1ヶ月の収入合計が30万円、支出合計が25万円だった場合、キャッシュフローはプラス5万円です。この5万円が、貯蓄や投資に回せるお金ということになります。もし収入が30万円、支出が32万円なら、キャッシュフローはマイナス2万円となり、毎月2万円ずつ手元のお金が減っている状態です。
キャッシュフローを改善するポイント
キャッシュフローが把握できたら、次はそれを改善することを考えましょう。キャッシュフローをプラスにする、あるいはプラスの額を増やすためには、大きく分けて「収入を増やす」か「支出を減らす」かのどちらか、または両方を行うことになります。
定年が近づく中で、劇的に収入を増やすのは難しい場合もあります。そのため、多くの人にとって、「支出を減らす」ことがキャッシュフロー改善の現実的な一歩となります。
支出を見直す際には、まず固定費に注目するのが効果的です。固定費とは、毎月ほぼ決まった額が発生する支出のことです。
- 固定費の例: 家賃・住宅ローン、水道光熱費(基本料金部分)、通信費(携帯電話、インターネット)、保険料、サブスクリプションサービス(動画配信、音楽など)、新聞購読料など。
固定費は一度見直しを行えば、その後継続的に支出削減効果が得られるため、キャッシュフロー改善への貢献度が大きいです。例えば、携帯電話のプランを見直す、不要なサブスクリプションを解約するなど、できることから始めてみましょう。
次に、変動費を見直します。変動費は、月によって支出額が変わるものです。
- 変動費の例: 食費、日用品費、娯楽費、交際費、被服費、交通費など。
変動費の削減は、日々の意識や工夫が求められます。例えば、外食を減らす、衝動買いを避ける、まとめて買い物をするなどの方法があります。キャッシュフローを把握することで、どの変動費が多いのかが分かるため、効果的な見直しが可能になります。
収入については、今の仕事を続ける中でできる節税(後述の「知っておきたいお金の基本」の別記事で解説します)や、副業・兼業を検討することも選択肢の一つです。ただし、無理のない範囲で、ご自身の状況に合わせて考えることが重要です。
家計管理にキャッシュフローの考え方を活かす
キャッシュフローの把握と改善の考え方は、日々の家計管理にそのまま活かすことができます。
- 予算を立てる: 過去のキャッシュフローデータをもとに、翌月の収入と支出の予算を立てます。食費は〇円、娯楽費は〇円、のようにカテゴリー別に予算を決めると管理しやすくなります。
- 予算と実績を比較する: 1ヶ月が終わったら、立てた予算に対して実際にいくら使ったのかを比較します。予算オーバーした項目があれば、原因を分析し、翌月以降の予算設定や支出行動に反映させます。
- 貯蓄・投資の目標を設定する: 毎月のキャッシュフローのプラス分を、具体的にいくら貯蓄に回すか、いくら投資に回すかを決めます。目標額を設定することで、貯蓄や資産形成のモチベーション維持につながります。
- 定期的に見直す: 家計の状況やライフステージは変化します。数ヶ月に一度、あるいは年に一度は、キャッシュフロー全体のバランスや予算設定を見直す機会を設けましょう。
まとめ:まずは「知る」ことから始めてみませんか?
この記事では、お金の流れを把握する「キャッシュフロー」の基本と、家計管理への活かし方について解説しました。
- キャッシュフローは、収入から支出を差し引いた手元に残るお金の流れのことです。
- キャッシュフローを把握することで、お金の現状を正確に理解し、改善点を見つけ、将来の計画を立てやすくなります。
- 家計簿やアプリなどを利用して、ご自身のキャッシュフローを「見える化」することから始めましょう。
- キャッシュフローの改善には、特に固定費を中心とした支出の見直しが効果的です。
- 把握したキャッシュフローは、予算設定や貯蓄目標設定など、具体的な家計管理に活かすことができます。
定年後の生活資金や資産形成に不安を感じている方も、まずはご自身の「お金の流れ」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。現状を正確に把握できれば、次に何をすべきかが見えてくるはずです。
難しい専門知識は必要ありません。まずは1ヶ月、ご自身のお金の出入りを記録してみることから、第一歩を踏み出してみましょう。