お金のきほんガイド

【初心者向け】定年を見据えたお金のチェックリスト

Tags: 老後資金, 定年, 資産形成, チェックリスト, 家計管理

定年が近づいてくるにつれて、「老後のお金は大丈夫だろうか?」と漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。テレビやインターネットで老後資金2,000万円問題などが取り上げられるのを目にして、余計に心配になることもあるかと思います。

でも、ご安心ください。まずは、ご自身のお金について「何を確認すれば良いのか」を具体的に知ることから始めてみませんか?一つずつ整理していくことで、不安を解消し、これから何をすべきかが見えてくるはずです。

この記事では、定年後の生活を見据えて、お金に関する現状と将来について確認しておきたいチェックリストをご紹介します。ぜひ、ご自身に当てはめながら確認してみてください。

チェックリスト1:現在の「収入」と「支出」を把握できていますか?

お金の不安を解消する第一歩は、まず「今、どれくらいお金が入ってきて、どれくらい使っているのか」を正確に知ることです。これは「家計の見える化」とも呼ばれます。

家計簿をつけるのが難しければ、スマートフォンの家計簿アプリを使ったり、クレジットカードの明細や銀行口座の入出金履歴を確認したりするだけでも、おおまかな流れを把握できます。何にどれくらいお金を使っているかが分かると、無駄がないか、どこを改善できるかが見えてきます。

チェックリスト2:将来受け取れる「公的年金」の見込み額を知っていますか?

会社員の方が将来受け取れる公的年金は、主に老齢厚生年金老齢基礎年金の二階建てとなっています。これが、定年後の収入の大きな柱となります。

これは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。特に50歳以上の方に毎年送られてくる「ねんきん定期便」には、これまでの加入期間に応じた将来の年金見込み額が記載されています。「ねんきんネット」を使えば、より詳細な情報や、働き方を変えた場合のシミュレーションなども可能です。まずはご自身の年金見込み額を知ることから始めましょう。

チェックリスト3:会社の「退職金」や「企業年金」の制度内容を把握していますか?

勤めている会社に退職金制度や企業年金制度がある場合、これも定年後の貴重な収入源となります。

これらの情報は、会社の就業規則や退職金規程、人事部などに確認することで得られます。特に確定拠出年金(企業型DC)の場合は、ご自身で運用してきた資産額が退職時に受け取れる金額となります。

チェックリスト4:定年後の「理想の生活」と必要な「支出」をイメージできていますか?

定年後の生活で、どんな暮らしをしたいかを具体的にイメージしてみましょう。旅行に行きたい、趣味に時間をかけたい、実家をリフォームしたいなど、やりたいことによって必要なお金は変わってきます。

現在の支出を参考にしつつ、定年後に増える可能性がある支出(医療費、介護費など)や、減る可能性がある支出(通勤費、被服費など)も考慮して考えてみると良いでしょう。

チェックリスト5:現在の「資産」と「負債」をリストアップできていますか?

これまでの貯蓄や投資で築いてきた資産と、借り入れなどの負債を整理してリストアップしてみましょう。

これらの資産合計から負債合計を差し引いたものが、ご自身の「純資産」となります。これが、将来の生活費に充てられるお金の土台となります。

チェックリスト6:「老後資金の目標額」を計算してみたことがありますか?

チェックリスト2~4で確認した情報をもとに、定年後のお金について具体的な目標額を考えてみましょう。

例えば、「年金だけでは毎月〇万円不足しそうだから、定年後の生活を〇年間送るには合計で△△万円必要になる」といった考え方です。この不足額を、現在の資産や、これからの資産形成・運用で準備していくことになります。具体的な金額が分かると、漠然とした不安が具体的な目標に変わります。

チェックリスト7:NISAやiDeCoの「活用状況」を確認できていますか?

もしNISAやつみたて投資枠、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用されている場合は、その状況を確認しましょう。これらは税制優遇を受けながら資産形成ができる、老後資金準備に役立つ制度です。

まだ始めていない方も、今からでも遅くはありません。ご自身の状況に合わせて、活用を検討してみる価値は十分にある制度です。

チェックリスト8:加入している「保険」は現在の状況に合っていますか?

定年後、働き方や収入が変わり、必要な保障も変化する場合があります。加入している生命保険や医療保険などが、今の、そしてこれからのご自身にとって必要な保障内容・保障額になっているかを確認しましょう。

例えば、お子さんが独立されたり、住宅ローンを完済したりすると、必要な死亡保障額は減る可能性があります。一方で、医療への備えはより重要になるかもしれません。

チェックリスト9:病気や介護に関する「公的な支援制度」を知っていますか?

病気や介護が必要になったとき、医療費や介護費の負担は大きくなることがありますが、日本には様々な公的な支援制度があります。これらの制度を知っておくことで、過度に心配したり、不要な保険に入ったりすることを避けられます。

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻される制度です。介護保険制度は、介護が必要になった際にサービスを利用できる制度です。これらの制度を理解しておくことは、将来の医療費・介護費への備えを考える上でとても大切です。

チェックリスト10:お金に関する大切な書類の「保管場所」を整理できていますか?

年金手帳、ねんきん定期便、保険証券、通帳、印鑑、証券口座の情報など、お金に関する重要な書類はたくさんあります。これらがどこにあるか、ご自身だけでなく、ご家族も分かるように整理しておくと安心です。

定年後や、万が一の際に慌てないよう、今のうちに整理しておきましょう。

まずは「知る」ことから始めてみましょう

この記事でご紹介したチェックリストは、定年を見据えたお金に関する確認事項のほんの一例です。全てを一度に完璧にこなす必要はありません。まずは、気になる項目から一つずつ確認していくことで、ご自身のお金の全体像が見えてきます。

現状を知り、将来の見込みを立てることで、漠然とした不安は具体的な課題に変わります。そして、その課題に対して、貯蓄を増やす、資産運用を始める・見直す、支出を見直すなど、具体的な対策を考え実行していくことができます。

もし、一人で考えるのが難しいと感じたり、もっと詳しく知りたいことが出てきたりした場合は、専門家(ファイナンシャル・プランナーなど)に相談することも一つの方法です。

定年後の豊かな生活のためにも、ぜひこのチェックリストを活用して、ご自身のお金と向き合う第一歩を踏み出してみてください。