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【初心者向け】50代から考える 資産寿命を延ばすお金の管理方法

Tags: 資産寿命, お金の管理, 老後資金, 50代, 初心者

定年後の生活について考え始める50代の方にとって、「自分たちの資産は、果たして何歳まで持つのだろうか?」という疑問や不安は、多くの方が抱えているのではないでしょうか。

現役時代にコツコツ貯めてきたお金や、これから受け取る退職金などを、いかに上手に使っていくか。ただ漠然と「使いすぎないようにしよう」と考えるだけでは、不安は解消されにくいものです。

そこで重要になるのが、「資産寿命」という考え方です。この記事では、資産寿命とは何か、そして50代から資産寿命を延ばすためにできるお金の管理方法について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

資産寿命とは?なぜ今考える必要があるのか

資産寿命の基本的な考え方

資産寿命とは、簡単に言うと、あなたが持っているお金や資産が、生活費などで目減りしていき、最終的に底をついてしまうまでの期間のことです。

例えば、退職時に3,000万円の資産があり、年間300万円を取り崩して生活する場合、単純計算で10年で資産がなくなることになります。この場合、資産寿命は10年ということになります。もちろん、実際には様々な要素が絡むため単純ではありませんが、考え方としてはこのようになります。

なぜ50代から考えるべきか

多くの方が、50代は定年を意識し始める時期であり、人生における大きなお金の節目が近づいてきます。退職金の受け取り方や、公的年金がいくら受け取れるのかなど、具体的な情報が見えてくる一方で、退職後の期間は、健康状態や社会情勢によって変化する不確定要素も多くなります。

平均寿命が延びている現在、定年後も長い人生が続きます。その長い期間にわたって、いかに安心して暮らしていくかを考える上で、資産がいつまで持つのか、つまり資産寿命を意識することが非常に大切になるのです。

資産寿命を延ばすための基本原則

資産寿命を延ばすためには、大きく分けて以下の3つの基本原則があります。

  1. 支出を管理し、無駄をなくす:必要以上の支出を抑えることで、資産の目減りを緩やかにします。
  2. 資産全体を把握し、効率的に使う:今ある資産が全体でいくらあり、どのように使っていくかを計画的に考えます。
  3. 資産を維持・ゆるやかに増やす視点を持つ:インフレなどでお金の価値が目減りすることを考慮し、リスクを抑えつつ資産を全く減らさない、あるいは少しでも増やせるように考えます。

これらの原則を踏まえ、具体的にお金の管理方法を見ていきましょう。

具体的なお金の管理方法:まずは「見える化」から

資産寿命を考える上で最初に行うべきことは、ご自身のお金や資産が全体でどのくらいあるのか、そして毎月の収入と支出がどうなっているのかを「見える化」することです。

1. 資産の棚卸し

預貯金、株式、投資信託、保険(解約返戻金)、個人年金など、ご自身が保有している全ての資産をリストアップしてみましょう。それぞれが現時点でどのくらいの価値があるのかを把握します。

自宅などの不動産は、すぐに現金化できるものではないため、生活資金としての資産寿命を考える上では、現金や金融資産を中心に考えると良いでしょう。

2. 収入と支出の把握

毎月の年金収入(見込み額)、その他の収入、そして生活費がそれぞれいくらくらいかかるのかを具体的に把握します。退職後の生活費は、現役時代と比べて変化することが多いです。例えば、通勤費はかからなくなる一方で、医療費や趣味・旅行などの支出が増える可能性もあります。

過去数ヶ月の支出を記録してみたり、退職後のライフスタイルを具体的に想像して必要な生活費を見積もってみたりすることが役立ちます。家計簿アプリを使ったり、ノートに手書きしたりするなど、ご自身に合った方法で支出を「見える化」することが重要です。

「見える化」することで、資産がいくらあり、毎月いくらくらい減っていく(あるいは増える)可能性があるのかが見えてきます。これが、資産寿命を考える上での出発点となります。

資産を「使う」段階での考え方:計画的な取り崩し

見える化ができたら、次は資産をどのように使っていくかを考えます。ただ無計画に取り崩すのではなく、計画的に行うことが資産寿命を延ばす鍵となります。

計画的な取り崩しの重要性

例えば、年間300万円の生活費が必要で、資産が3,000万円ある場合。単純に毎年300万円ずつ取り崩すと10年で底をつくと考えがちです。しかし、その資産の一部を運用しながら取り崩すことで、資産が減るスピードを緩やかにできる可能性があります。

また、人生には予期せぬ大きな支出(住宅のリフォーム、医療費など)が発生することもあります。こうした支出も考慮に入れた上で、毎年の取り崩し額や、万が一のための予備資金をどのように確保しておくかを検討する必要があります。

取り崩しの優先順位を考える

複数の資産がある場合、どの資産から優先的に取り崩していくかを考えておくと良いでしょう。例えば、すぐに使う予定のないお金は定期預金に預けておき、当面の生活費は普通預金に置いておく、といった基本的なことから、運用している資産がある場合は、税金のことも考慮して取り崩す順番を決めるなどが考えられます。ご自身の資産状況やライフプランに合わせて検討することが大切です。

資産を「維持・増やす」視点:リスクを抑えた考え方

50代から資産寿命を延ばすためには、資産をただ使うだけでなく、インフレによるお金の価値の目減りを考慮したり、リスクを抑えながらも資産全体を維持、あるいはゆるやかに増やしていくという視点も重要です。

インフレとお金の価値

物価が上昇するインフレが起こると、同じ金額のお金で買えるものが少なくなります。例えば、年間300万円で暮らせていたとしても、物価が上がれば同じ生活水準を保つのにより多くのお金が必要になる可能性があります。これは、実質的な資産寿命を縮める要因となります。

リスクを抑えた運用の考え方

大きなリスクを取って積極的に資産を増やすことは、この年代の方にとっては必ずしも最適とは言えない場合があります。しかし、低金利の預貯金だけではインフレに対応しきれない可能性もあります。

そこで、リスクを抑えながらも、預貯金よりは少し有利な運用方法を検討することも考えられます。例えば、比較的リスクが低いとされる個人向け国債や、専門家が分散投資を行ってくれる投資信託の中でも、よりリスクが低い運用方針のものなどが選択肢として挙げられます。ただし、どのような金融商品にもリスクは存在するため、仕組みやリスクを十分に理解した上で、無理のない範囲で行うことが非常に重要です。

すでにNISAやiDeCoを活用されている方は、これらの制度を上手に活用しながら、取り崩し時期も視野に入れた運用や資産配分を検討していくことになります。

資産寿命を考える上での注意点

まとめ:計画的な管理で安心を

50代から資産寿命について考え、計画的に資産を管理することは、定年後の生活の安心につながります。

まずは、ご自身の資産と収入・支出を「見える化」することから始めてみましょう。そして、それを踏まえて、どのように資産を使っていくか、そしてどのように資産を維持・増やしていくか(リスクを抑えながら)を具体的に考えていくことが重要です。

この記事が、皆さんがご自身の資産寿命について考え始めるきっかけとなれば幸いです。